運用試算表を使ってトラリピを設定(運用を始めた)後のリスク管理にはシミュレーション機能を使います。
実際、どういったケースでシミュレーション機能を使ってリスク管理をすればよいのでしょうか?
具体的にはポジションを持っている状態において、為替レートの変動、運用資金の入出金、日数経過時のスワップの影響などを詳細にシミュレーションします。
シミュレーションの結果、維持率やロスカットレートがどのように変動するかを簡単に把握することができます。
シミュレーション機能の目的

シミュレーション機能はトラリピ運用中のリスクを見える化することを目的とした機能です。
具体的には以下のケースで維持率とロスカットレートの変動を把握し、適切なリスクヘッジに繋げます。
- 現在ポジションを持っている状態で為替レートが増減させてみる
- 運用金額を増額(入金)または減額(出金)させてみる
- 仮ポジションを持ってみる
- ポジションを決済してみる
- 利益がたまってきた状態、または入金した際、(決めているロスカットレートを確保した上で)何本トラップを追加できるか確認してみる
また日数経過に伴うスワップの影響についても把握することができます。
- 日数が経過に伴い、プラススワップまたはマイナススワップの影響をみてみる
シミュレーション機能の使い方
それでは、シミュレーション機能の使い方を説明しますね。
シミュレーション機能は、マネースクエア社のホームページからマイページへログイン後、トレード画面から利用可能です。
設定や表示される項目が多いためパソコン画面から使用します(下図)。

操作メニュー
操作メニューは以下です。
- レートを変更してみる
- 入金・出金をしてみる
- ポジションを持ってみる
- ポジションを決済してみる
- 日数を進めてみる
- 指値・逆指値注文一覧をみる
- ポジション一覧をみる
私は、CAD/JPYとEUR/JPYの2つの通貨ペアを運用しています。
ここで、シミュレーション機能では複数通貨ペアを保有している場合は、ロスカットレートが計算できないといった制限があります。
そのため、証拠金維持率がシミュレーションによってどのように変わっていくかを説明していきます。
証拠金維持率が100%以下になるとロスカットされてしまうことになります(下図)。

それぞれ、詳細に説明していきますね。
レートを変更してみる
CAD/JPYのレートを変更してみましょう。
現在レートが78.964なので、仮に私が想定している65円まで下がった場合のシミュレーションをしてみます(下図)。
① レートを変更してみる
② CAD/JPYにチェック
③ BIDに変更したいレート(65.000)を入力 ※ASKはスプレッド分を入れて自動計算
④ 登録する

シミュレーション結果より、証拠金維持率が516%から185%に下がることがわかります。(下図)。

それでは、証拠金維持率が100%以下となるレートを探ってみましょう。
何度か①~④を繰り返しレートを変えてみた所、60.9円に下がると証拠金維持率が100%、すなわちロスカットレートは60.9円であることがわかりました(下図)。

これが現実になってしまったとしたら焦ってしまいますね。^^;
もし現実になっても、シミュレーション機能により冷静に、資金を入金するか、ポジションを決済することでロスカットを回避しましょう。
入金・出金をしてみる
入金・出金をしたときに証拠金維持率がどのように変化するかをみてみましょう。
100万円を入金してみます(下図)。
① 入金・出金をしてみる
② 入金をチェックし、金額欄に1000000(100万円)を入力
③ 登録する

証拠金維持率が516%から642%に上がることがわかります(下図)。

一旦入金前の状態に戻します。
シミュレーションは履歴として残っていきますので、一旦元の状態に戻したい場合はリセットします(下図)。
① 全てやり直してみる
② はい

証拠金維持率が642%から516%に戻りました(下図)。

次に100万円を出金してみます(下図)。
① 入金・出金をしてみる
② 出金をチェックし、金額欄に1000000(100万円)を入力
③ 登録する

証拠金維持率が516%から389%に下がることがわかります(下図)。

ポジションを持ってみる
ポジションを持ってみた時に証拠金維持率がどのように変化するかをみてみましょう。
シミュレーション時点ではCAD/JPYのレートが78.964円です。
75円~84.5円のレンジに、0.5円間隔で20本(1本1本は0.1万通貨)の買いトラリピを追加設定。
この時全てポジションを持った場合に証拠金維持率がどのようになるかを確認してみます(下図)。
① ポジションを持ってみる
② 注文形式(→トラリピ(レンジを指定))、通貨ペア(→CAD/JPY)、売買(→買)、トラリピ項目(レンジ、本数、通貨数)それぞれを入力
③ 確認する
④ 登録する

証拠金維持率が516%から476%に下がることがわかります(下図)。

日数を進めてみる
日数を進めてみた時に証拠金維持率がどのように変化するかをみてみましょう。
これはスワップの影響を確認するために便利です。
特に、マイナススワップが発生するポジションを持っていた場合は日数経過に伴う証拠金維持率の変化を確認し、必要に応じて入金するなどの対応が必要になります。
スワップは流動性がありますので、対象通貨国の政策金利の変動によっては、現在はプラスのスワップが得られていても、将来マイナスのスワップになることもあり得ます。
逆に現在はマイナススワップでも、将来プラススワップとなることもあり得ます。
シミュレーション機能では直近のスワップが用いられます。
それでは日数(例えば1000日)を進めた場合に証拠金維持率がどのようになるかを確認してみます(下図)。
① 日数を進めてみる
② 経過日数を入力(→1000日後)
③ 登録する

証拠金維持率が516%から517%と1%上がることがわかります(下図)。
私は現在CAD/JPYの買い、EUR/JPYの売りそれぞれのポジションを保有しています。
現時点ではいずれも(微妙に)プラスのスワップです。
そのため証拠金維持率が少しだけ上がります。
有効証拠金も4,092,011円から4,100,111円と8,100円多くなっています。
1日あたり、8.1円(8,100円÷1,000日=8.1円/日)のスワップが積みあがっていくことがわかります。

指値・逆指値注文一覧をみる
現在の指値・逆指値注文の一覧をみることができます。
注文を取り消した時の必要証拠金を確認することができます(下図)。
① 指値・逆指値注文一覧をみる
② 取り消す注文をチェックし取消
③ はい

注文を取り消したので、総必要証拠金が減ったことが確認できます(下図)。

ポジション一覧をみる
現在またはシミュレーション後のポジション一覧を確認することができます。
例えばポジションを保有している状態でレートを変更した時に、レート変更後のポジションの評価損益を確認することができます(下図)。
① ポジション一覧をみる

応用編(シミュレーションの組み合わせ)
既に説明した通り、シミュレーション機能には以下①~⑥の機能があります。
①レートを変更してみる
②入金・出金をしてみる
③ポジションを持ってみる
④ポジションを決済してみる
⑤日数を進めてみる
⑤指値・逆指値注文一覧をみる
⑥ポジション一覧をみる
上記を組み合わせると、次のように柔軟なシミュレーションが可能です(以下ケーススタディA~Cを参照)。
ケーススタディA
為替レートが下がった時に、いくら入金するとどこまでロスカットレートを下げておく(証拠金維持率を上げる)ことができるか知りたい。
①(レートを変更してみる)のあと続けて、②(入金・出金してみる)を実施。
ケーススタディB
現状のロスカットレートを維持したままポジションを追加する場合は、いくら入金する必要があるか知りたい。
③(ポジションを持ってみる)のあと続けて、②(入金・出金してみる)を実施。
入金額を何度か変更(②を繰り返し)させてみて、元のロスカットレートを維持するためにいくら入金が必要になるかを求める。
ケーススタディC
為替レートが大きく下がった時に、どのポジションをどれくらい決済するとどこまでロスカットレートが下げられるか知りたい。
①(レートを変更してみる)のあと続けて、④(ポジションを決済してみる)を実施。
まとめ

- シミュレーション機能は、トラリピ設定(運用開始)後のリスク管理を行うための重要なツールです。
- シミュレーションできることは以下です。
– レートを変更してみる
– 入金・出金をしてみる
– ポジションを持ってみる
– ポジションを決済してみる
– 日数を進めてみる - 上記を組み合わせたシミュレーションも可能です。
- シミュレーションの結果、維持率やロスカットレートがどのように変わるかを簡単に把握することができます。
- 注意点として、複数の通貨ペアを運用している場合はロスカットレートが表示されません。維持率が100%になるレートがロスカットレートです。
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